2012年8月8日水曜日

和訳:メタゲームを理解する

訳者より:ワーディングガイドを翻訳してるよ!とどや顔で宣言しましたが、ちょっと面白い考察があったので先に訳してしまいました。最近のMalphite&Rumble押しのメタとその先について思案する、面白い内容ですよ。
原文:Understanding a Metagame - Blogs - A DIFFerent View - Prant - Reign of Gaming


やあ、A DIFFerent Viewへようこそ。今日は「メタゲーム」という概念が、どう作られるのか、そしてどう変化していくのかを、詳しく紹介していこうと思う。今までにたくさんの人が、League of Legendsというゲームの変化について、どんな新要素が追加されたか、あるいは古い要素をほじくり返してきたプレイヤーがメタゲームを変え得るか、といったことについて議論している。こういった要素はメタゲームに影響を及ぼし得るが、それだけではメタゲームは変化しない。League of Legendsをプレイする以前、僕はこういう対人の競争要素があるビデオゲームを遊んだことがなかったが、Magic: The Gathering(MTG)というカードゲームのジャッジをやっていた。MTGをやっていた頃、僕はメタゲームという概念についてたくさんのことを学んだ。僕が学んだ一番大きなことは、現状のメタゲームにカウンターすることでメタゲームは変遷していくということだ。
今までの変化についての問題
じゃあ、もしメタゲームがそれ自身をカウンターするために変わっていくんだとしたら、今起きている変化よりももっと速く変わっていくものなんじゃないの?と思うかもしれない。その考えの欠点としては、チーム構成のうち一人だけチャンピオンを変えたいと思ったら、全体としてきちんと使えるチームにするためにはもっといろんなことを変えなきゃいけないと思うくらい、League of Legendsはたくさんの要素が複雑に絡み合っているゲームだってことだ。

最近あった、Malphiteプレイヤー人口の増加を例に考えてみよう。Malphiteの人気が上がったのは当然で、イニシエート能力に優れ、(人気が上がり始めた当時は)ASを50%低下させるデバフを持ち、アーマーにAD火力もあり、総合的に強いチャンピオンだ。彼の人気が出たのは、みんな彼に対する対処法を知りたがったからだ。そしてみんなはMalphiteのカウンターであるRumbleをプレイし始めた。でも真剣勝負の試合では、Rumbleをピックするためにはチーム内でいろいろな調整が必要だった。APチャンプ2人というチーム構成は強いが、イニシエートの得意なタンク・ジャングラーを必要とする。Nautilus、Maokai、(皮肉なことに)Malphiteといったチャンプをジャングラーとしてピックすれば問題にはならないが、彼らは遠くにgankしに来るのに時間がかかってしまう。さらに、集団戦でチームぐるみのカウンターを打たれると弱いという弱点もある。

今僕は以上のジャングラーのカウンターをリストアップすることができるし、そのカウンターも、またそのカウンターのカウンターも挙げられる。でもここが重要なポイントで、特定のチャンピオンピックであるにしろ、チーム構成から来る戦略にしろ、このゲームのあらゆる要素にはカウンターと言えるものがあるんだ。
より強いチャンピオンをピックする

継続的に新要素が追加されるゲームでは、どんなゲームであってもバランスを保ち続けるのは難しいことだ。League of Legendsには強チャンピオンと言われるものがあるし、MTGにも強カードとされるものがあるし、Pokemonにすら他よりも絶対に強いと断言できる選択肢がある。現在のLeague of Legendsには101体以上のチャンピオンがいるが、その中の50~75体はプロチームの基準ではピックに値しないだろうし、トップピック・トップバンされるチャンピオンは本当に一握りだ。Shen、Urgot、Alistarといったチャンピオンは、連携すると強い上に使いやすいため、よくピックされる。強いレーニングチャンピオン、きちんとしたワード設置、ジャングルへのインベーションなどをもってしても、強いCCとダメージ軽減ultを持つジャングルAlistarに対抗するのはむつかしいだろう。幾度かの大きなナーフを受けざるを得なかった彼の能力だが、依然としてトップピックと考えられており、どんなチーム構成でも役に立つ。

さらに言えば、以上に挙げた強チャンピオンたちは、様々なタイプのチーム構成にフィットする。たとえばGragasを見てみよう。AP Gragasは多くのチームで見かける、真剣勝負の試合では概ね一般的と言っていいピックだ。彼はpokeができるし、敵への突撃ができるし、逃げ性能もあるし、ヘルス満タンから一気にゼロまで削りきるバースト性能もある。だがしかし、Gragasはちょっと大きな弱点を抱えている。まず一つ目は、彼のスペルは当てるのに全て熟練が必要で、対面に避けられてしまえば全くダメージを与えられない可能性があるということだ。

二つ目の弱点はさらなる泣きどころなのだが、引き撃ちスキルがAhriやAniviaのような他のAP midチャンピオンのように強くないのだ。IPLやMLGの前回のトーナメントでは、既にGragasはそんなに使われていなかったことに気づいただろう。真剣勝負の試合では、メタゲームは引き撃ち性能に基づいているんだと僕は考えている。なぜ引き撃ち性能が基準なのか? おそらくそれは、GalioやDr. Mundo、Udyrといったチャンピオンが人気があり、そういったチャンピオンを相手に勝利を得るために効果的なのが引き撃ちなのだからなんだろう。

新しい戦略に対するカウンターを自分で見つけるよりも、どの戦略がカウンターされたのかにみんながアンテナを立てていてはしゃいでいる、というのが状況の全てだ(これは決してみんなが何も考えていないのではなく、他のチャンピオンを練習するのに時間がかかってしまうからだと思いたい)。チームが簡単に引き撃ちできるチャンピオンの採用を辞めるのには少し時間がかかるだけだということだと思うが、明確に引き撃ちが難しいチャンピオンをピックするよりも、どちらかと言えば引き撃ちが得意なチャンピオンをチームに入れることになるだろう。だから、ミラーマッチのような試合がほとんどになってしまうわけだ。数ヶ月前のことを思い出すんだが、引き撃ちに基づいた構成の2つのチームの対戦を見ていると、実質的なAce状態は本当に稀で、低ヘルスになれば逃げるだけ、敵チームをリコールやヒールもしくは歩いて撤退させて30秒間ゲームから締め出すという目的の競争を強いられているように見えた。しかし今、もっと最近のトーナメントでは、こういった引き撃ちベースのチームに接敵して勝つのは難しいようなチャンピオンをプレイしている人たちを見かける(こうして話はMalphiteとGragasが人気チャンプになったところに戻る)。

ポイントは、こういった強いチャンピオンというのは常に存在するものであり、常に現在のメタゲームを決定する要素になるのだが、彼らの強さは与ダメージの高さやユニークな能力によるものではなく、様々な勝ち筋にどれだけよくフィットするかということで決まってくることがほとんどなのだろう。
元々の基礎
長い間、こうあるべきだというチーム構成のアウトラインが存在してきた。タンクのジャングラーが1人、比較的タンキーなtopレーン担当、AP mid、ADキャリーとサポートがbotレーンという枠組みで、大抵のチームは構成されてきた。この構成は大変一般的になったが、単に選びうる最良の構成だからだ。

ADキャリーという存在そのものが理不尽なものなので、このチーム構成方法はADキャリーの周りを固める点を第一としている。他のチャンピオンがスペルを撃てないような長距離から攻撃できるチャンピオンが、このゲームには実際に存在する。誰かがジャンプして逃げる能力のあるチャンピオンになんとかして近づこうとした時、そのチャンピオンが相手を撃ち落とせる範囲内でキルやアシストを稼ごうと思ったら、脅威となるものから逃げ続ける必要があるだろう。念のために明言しておくと、このチャンピオンはTristanaだ……こういった能力を持つチャンピオンは彼女だけではない。League of Legendsにおいて、ADキャリーたちはどのようにADダメージを組み立てていくかというビルドと、遠距離攻撃するのに役立つ能力によって、他の誰よりも大きなダメージを与えられる可能性を秘めている。



ADキャリーとAPキャリーを比べたくなるかもしれないが、彼らはそんなに違う存在でもない。両方とも相当の長射程からダメージを与えることができるし、ADかAPか、ASかCDRかの違いはあるが与ダメージを増やすためのビルドをするものだ。しかしADキャリーにはCritical StrikeというAPキャリーにはない優位性がある。Critical Strikeは一人のチャンピオンが叩き出すダメージを倍にする。ほとんどのキャリーたちはInfinity EdgeとLethalityのマスタリーをビルドに入れ、Criticalのダメージを260%に上げている。長射程のオートアタックダメージを2倍から260%にする能力は恐るべきもので、自チームのADキャリーを守るか敵チームのADキャリーをキルするかが非常に重要なため、メタゲームの焦点がADキャリーに当たっている理由ともなっている。時としてRylai's Crystal ScepterやZhonya's Hourglassといったタンキーアイテムビルドで、Kog'Mawを大ダメージを与えるAPキャリーとしてピックするチームを見かけることもあるだろう。

ADキャリーは長距離から高効率で倍になったダメージを与えるだけではなく、Last WhisperとWeapon Expertiseのマスタリーを兼ね備えれば46%ものArmor Penetrationを誇る。これにより彼らはレイトゲームではArmorのほぼ半分を無視してダメージを与えることができ、このことはガッチリとチームに守られたADキャリーがチームに必要な火力をいともたやすく叩き出せる理由となっている。

チームを構成する多くのチャンピオンが大きく変更されない限り、サポート+ADのbotレーンが変更されたところを僕は見たことがない。自チームのキャリーを安全にファームさせるために最良の方法だからだ。このメタに対して今まであった最大の変化はUrgotのピックに関することだ。Urgotは明確にADキャリーとは分類できず、もうちょっとタンキーで、長射程のアンチ・キャリーだ。Urgotのピックを見かけることは本当にうれしい。こういった従来のチーム構成の定石とは大きく違うチームでは、KarthusやRyzeのようなAPハイパーキャリーや、Jaxのようなチャンピオンをtopかジャングラーとして見かける。
総括
メタゲームはゲームに用意されている要素だけで完全に決まるものではない。むしろ現行のメタゲームというのは、現行のチーム構成戦略に対するカウンターが編み出されるまでの間、常に強いものの組み合わせによって決まっている。僕のMTGプレイ経験からは、自分がゲームをプレイする上で助けになるスキルがたくさん得られたわけではなかったが、他の人が何がいいと考えてピックをしているのかを考えやすくする助けになっていて、後々には前のピックに対してよいカウンターピックができるようになった。僕がIPL streamを見た感じ、ADキャリーは実際はダメージがそんなに出ないビルドをする場合もある。CorkiやEzrealのようなチャンピオンは、Trinity ForceからGuardian Angelを作るビルドをしている。この変化はおそらく、MalphiteのultやAlistarを起点としたコンボからの即死を回避するためで、理に適ったものだ。自チームのキャリーを守ることに注力するチームを構成することもできるが、与ダメージを下げることで生存性を高めたキャリーをチームに加えることもでき、こうすることで集団戦が長引いた時に高いダメージを敵に与え続けることができる。僕は既にチーム4人がGuardian Angelを持っているという試合を見たことがあって、片方のチームがAceを取る前に合計13デスが起こっていて、生き残ったのはたった一人だった。このことで、Guardian Angelがナーフされるか、タンキーで一度死んでも蘇るようなチームへのカウンター方法を模索するチームが現れるかするだろう。どちらにしろ、変化はじきに起こると思う。読んでくれてありがとう。

※この翻訳記事は、Reign of Gamingさまの許諾のもとに翻訳しています。
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