原文:GAME PLAY GUIDE – PUSHING
はじめに
集団でプッシュするか、別れてプッシュするか、撤退するか、バックドアするか、防衛するかといった決定は、League of Legendsにおける中盤~終盤の戦略で、間違いなく最大級に重要な局面である。勝つためのプレイにおいて、プッシュ方法を理解することは不可欠である。どこかNFLのプロチームのコーチが作った作戦だと思って考えてみよう……対面を出し抜く鍵を握ることだ。一帯における重要な意思決定で、ゲームの流れを変えることができる。このガイドではこういった概念を読者に教えるとともに、読者の知識を試すものだ。この背後にある戦略をマスターすることで、読者諸君は熟練のチームリーダーになり、チームをfield of justiceでの勝利へと導くことができるだろう。プッシュすることで得られる利点
タワー
プッシュ戦略は、なるべく速く敵のタワーを折ることに焦点を当てている。タワーを折ることで得られる利点は以下のことだ。- コントロールしているマップの面積を増やせる
- 敵チームの領域(マップ中で守られている面積)全体が弱まる
- ゴールドと経験値を追加で得られる
- 当該レーン(タワーを折られた)でファームしている敵チャンピオンのgank耐性を下げる
マップコントロール
敵のタワーをコントロールできれば、マップコントロールを著しく増やすことができる。敵のタワーにはそれぞれ、防衛している地域が存在する。戦場において、敵のチームへ相対的な安全性に大変な優位を与えているのが、タワーが守る一帯だ。この安全な拠点がなければ、敵チャンピオンたちはレーンをプッシュするのに大きなリスクを負うことになり、自タワーの近くに居続けなければならない。これが意味することは、gankされないためには自タワーの防衛範囲にいる必要があり、タワーがない状況では自ジャングルに新しくワードを挿さなければならないということだ。下の画像を見てほしい。ここに示したのは、敵の塔の攻撃範囲から考えられる「安全地帯」だ。黄色い円はタワーを、赤い円はそこから導き出される準安全地帯を示している。タワー1を君のチームが折ったとすると、青で示した場所は敵チームよりも君のチームが支配する一帯となる。タワーを折ることで、君たちはマップコントロールできる面積を大きくすることができるのだ。この場合は更に、敵チームがbotレーンで効果的にファームするためには、ワードを買って青バフのBlue Golem付近に挿す必要が生じてくる。

目的(バロン/ドラゴン)
プッシュすることで、バロンとドラゴンを巡るパワーゲームに必ず影響が出る。レーンが目一杯プッシュされている時(自軍ミニオンが敵タワーの目前に来ており、敵の方針をタワーの防衛か、それとも放棄しての集団戦かに決定させる状態)に敵がこれらの目的のために戦うと決めた時、何にせよプッシュされたレーンでは入手ゴールドとCSにおいて負けることとなる。これを「犠牲にする技術」として考えてみよう。プレイの間、君のチームは以下のようなことを決断せねばならない時があるはずだ。
- バロンを取ろうとしている間に、敵にタワーを折らせてしまっていいのか?
- プッシュを続けるべきか、やめて撤退するべきか?
- 別れてプッシュするべきか、集団でプッシュすべきか?
- 囮となるべきか、リコールするべきか?
- 敵チームに対して集団で仕掛けるべきか、プッシュしてタワーに攻撃するべきなのか?
プッシュのタイプ
ガイドの次のセクションでは、君が遭遇する最もポピュラーなパターンを解説し、定義する。- 集団でのプッシュ
- スプリット(一人だけ別れてのプッシュ)
- 複数レーンのプッシュ
- 撤退
- バックドア
- 防衛
集団でのプッシュ
集団でのプッシュとは、1本の敵タワーにチームのチャンピオン5人全員がプレッシャーをかけることを言う。集団でのプッシュはゲームの序盤~中盤では戦略的に効果がない。この戦略が効果的なのは、ゲームの中盤を過ぎた辺りか終盤辺りだ。必要な準備
- 集団でのプッシュの前に、青バフと赤バフのコントロールを手に入れろ。プッシュの間はこういったバフを持っていると、敵タワー前に立っても持ちこたえられる公算が高い。
- ミニオンのラインを敵タワーまで上げられるように、近くのレーンを前もってプッシュしておく(自分たちがいない間のレーンでも、自ミニオンウェーブがたくさん来てレーンをプッシュしてくれるだろう)。
- これをやるためには、敵ミニオンウェーブを1~2列処理するために、自チームのAD/APキャリーに行ってもらわねばならないだろう。これができてしまえば、キャリーたちは集団でのプッシュに戻ってこられる。
集団でプッシュするには
- タワーに近づこうとしている間、ミニオンを掃除するためにマナを使いすぎてはならず、レーンにいる限りは生き残るようにせねばならない。
- タワーに着いたら、8割方のケースでは、タワーの残りHPが1/8以下になるまではダイブしないのがいいだろう。もし君がADキャリーなら、無理にならない限り多くのタワーを折ることに尽力しよう。例外は、敵チームが集中的なNuker(VeigarかAnnie)を抱えている場合だ。もし君がADキャリーでないなら、タワーを攻撃している間はADキャリーを守ることに注力しよう。君の任務はミニオンが到達した時に安全なタワーを可能な限りたくさん作ることだ。もし君が射程の長いスペルを持っていたら、タワーの周りに撃つことだ(脇か背後)。そうすることで敵チームはより安全な距離に居なければならないことになり、自チームのAPキャリーにタワーをもっと攻撃してもらうことができる。Zoning guideでさらに詳しく解説している。
- 敵ベース入り口のタワーを集団でプッシュする場合は、外にあるタワーよりも難易度が高い。その理由は、タワーへの入り口が狭いということにある。この入り口に捕まってしまうと、AoE攻撃によって簡単に攻撃されてしまうこととなる。AmumuやOriannaのUltのようなAoEスペルは集団から話してしまう効果があり、もらった場合はプッシュするはずが撤退することになってしまう。大抵の場合、君のチームがバロンを採っていない時にベースの塔をプッシュするのは非効果的だろう。
- 例外としては、君がいないレーンが自ミニオンによってプッシュされている場合だ。この場合は、単純に塔の前で待ち、敵チャンピオンを他レーンの対応で忙しく駆けずり回らせることで、自ミニオンウェーブでもってプッシュできる。
スプリット(一人だけ別れてのプッシュ)
この戦略は、敵チームの4人がこちらの4人の攻撃者に対して違うレーンもしくは目標(たとえばバロン)のために防衛をしているにもかかわらず、どのチャンプが防衛に向かったらいいのかを迷わせる効果がある。スプリットをこなすのに適したチャンピオンは、攻撃をいなす方法を持っている者たちだ。Nidalee、Master Yi、Shaco、Twisted Fate、Shen、Pantheonといったチャンプたちは、スプリットプッシュ戦略をするのに手堅いチャンプと言える。この戦略は、敵チームにそういったチャンプがいない時(もしくはサモナースペルのテレポートがない時)にも有効だ。マップ全体を行き来できるような機動性を持つチャンプがいない敵チームに対しては、スプリットすることで集団でプッシュしている味方に有利をつけることができる。バロン・スプリット
必要な準備
マップ全体を行き来できる機動性があるチャンピオンかテレポートを持つ味方チャンピオンを、botレーンに送るのが望ましい(バロンから最も遠いレーンのため)。他の4人のチャンピオンが、オラクルを飲みワードをたっぷり携えて、バロンへ向かう。それぞれの動き
このゲームのルールは、我慢して観察することであり、最初に仕掛けることではない。適切な行動ができず我慢の効かないプレイヤーがいるため、この戦略はsolo queueで成功させることが難しい。この方法は皆でやるプレイの中で効果的だというのがわかるだろう。他の4人がバロンに到着したら、オラクルを使ってマップコントロールを増す──バロンの周りの敵ワードを排除して自ワードを置くのだ(バロンの背後、脇、近くの茂み)。この完全なマップコントロールが、必要な時に打って出たり、イニシエートしたりすることを可能にする。集団でバロンの場所へ移動することで、敵チームもバロンを守りに来る。君たちはバロンの近くにいるだろうが、会敵しないために安全な距離を取るだろう。できるだけ長く、この場所の周りで「踊り」続けることだ(その間、botレーンにいるテレポートかグローバルを持つチャンプは、レーンをプッシュする)。バロンの前で君たちが長く踊るほど、botレーンをソロでプッシュする時間が稼げることになる。
大抵は、ソロのチャンピオンが敵ベース内のタワーに近づくまでの間に、敵チャンプの一人が防衛に駆けつけるだろう。敵チャンプがソロレーンに防衛にやって来たら、敵チームへのイニシエートをする時だ。このイニシエートは最初は4vs4の戦闘になるが、ソロレーンに行っている味方チャンプはテレポートがグローバルultで戦闘に参加することができ、5vs4の戦いを作ることができる──これによってバロンを巡る戦闘に勝利できる可能性が増すのだ。もし5vs4の勝負に勝ったら、その後に悠々とバロンを鶏、リコールした後に、バロンバフを持って集団で塔を割るべくプッシュしよう。
複数レーンのプッシュ
必要な準備
midレーンのミニオン(1~2ウェーブ)をチャンピオン1人でプッシュしておく。やり方
4人の味方チャンピオンでtopレーンをプッシュし、1人の味方チャンピオンでbotレーンをプッシュする。4人でプッシュするレーンが4人なのは、バロンに近いからだ。もしバロンが死んでいてリスポン待ちならレーンを変えてもいいが、バロンがまだ取られていない状態であれば、4人でbotレーンをプッシュして1人がtopレーンをプッシュするのはリスクが高い。このような状態では、敵チームは君たちのプッシュ戦略に対して、君たちがバロン防衛に到着する前に5人でバロンを取って反撃してくるだろう。4人でレーンをプッシュする際のポイント
- ソロレーンをしているチャンピオンは、味方たちが敵タワーに近づくまで、激しいプッシュをしないこと。4人の味方チャンプが敵タワーに近づいたら、同時にプッシュする。
- 君たちのADキャリーをタワーの攻撃から守ること。
- ほとんどのの場合、敵チームが5人全員で守りに来たら、タワーダイブしたがらなくなるだろう。
- 注意してやること。がんばりすぎず、挑戦は避け、レンジチャンピオンでなるべく安全なところからタワーを叩け。
- タワーを折ってもその後ろにまだ敵チームがいる場合、どういうコンビネーションをしていくのか、ボイスチャットで話し合おう。戦いが起こった時に、スタンからどう繋げていくのか、前もって決めておこう。
ソロレーンで押さえておくべきポイント
- ミニオンウェーブをできるだけ素早く処理するために、スキルを使うこと。
- topレーンの4人をなるべく注視し、集団戦が始まったらテレポートかultで合流すること。
- 平均的なプレイヤーと素晴らしいプレイヤーの差というのは、プッシュの継続に対する集団戦の開始タイミング判断だ。君以外の味方は4vs5の集団戦をやれるから、君は大変に価値のあるプッシュを引き受けるのだ。
- 集団戦を始めるのは早すぎてもいけないし、遅すぎてもいけない。チームのタンクがイニシエートした時には、既に合流しているようにしよう。最もいいタイミングは、敵チームがこちらのタンクにスキルを使った時で、その時なら君がフォーカスされることはない。
撤退
集団戦に勝てないと思ったら、味方チャンピオンの死亡数が増える前に撤退し、危険地帯を脱出するタイミングだ。この時に受けるダメージを最小化し、生存性を高めつらめにいくつかのコツがある。- 撤退を知らせるため、チーム内でボイスチャットを使うこと。
- 「確実に死ぬ」味方と同じ方向に逃げるべきではない。前進し敵チャンピオンを引き寄せつつも安全な距離を保とう。もう死ぬと分かっている時に、自分のNexusへ逃げる理由がどこにある?
- 集団で撤退中の時、全員で行動するのにも別れて行動するのにも、それぞれ利点がある。移動速度を上げる能力かアイテム(Orianna、Galio、王冠など)を持つチャンピオンがいない場合、別れて逃げるのが一番だろう。敵チームのターゲットを分散させ、ターゲット以外のチャンピオンを逃がすことができる。移動速度を上げる能力を持っているのであれば、みんなで一緒に逃げればいい──無傷で逃げることができるだろう。
- バロンが湧いたら、すぐに安全な場所を見つけるか、リコールすることだ。敵チームはちょうどバロンに行く途中だろう。できるだけ早く、防衛しに行かねばならない。
囮を使った撤退
囮を使った撤退は、このゲームの中で最も「流れを変える」力の高い戦術だ。正しい状況で、正しいタイミングで使うことができれば、敵チームをがっかりさせることができる。構想としては、敵チームにこちらのチームはファウンテンまで撤退中だと思わせることだ(こちらのチャンピオンのヘルスが残り少ないか、誰かが敵チャンピオンに負けたかといった状況)。敵チームはこちら側が4vs5か3vs5の集団戦を避けることはできないと思っている──だから敵は、こちらが死んだ味方のリスポン待ちをしているのをわかって、優位を保ち続けることにためらいがない。- リコールするふり(Clairvoyanceで覗かれている場合)。CVの持続時間が終わったらリコールをキャンセルし、茂みの中で待とう。
- 囮を使った撤退をする場合は必ず、奇襲の要素が要求される(囮となる味方チャンピオンは、フェイスチェックしようとする敵チャンピオンを待つために、戦略的に茂みに隠れている必要がある)。
- 敵チームがフェイスチェックしたがりそうな茂みを見つけておくこと。
- 茂みがフェイスチェックされたら、君たちは全てのスキルを使うこと(とにかく確実にスタンからのコンボを決めること──そして相手に同じことを許さないこと)。最終目的は、敵チャンピオンが何か能力を使ったりダメージを及ぼしてきたりする前に、完全にバーストダメージを入れることだ。
よくある共通的なシチュエーション
- バロンへ移動する途中に、敵チームがこちらのチャンピオンを一人キルすることがある。ファウンテンにリコールすると見せかけて、みんなでバロンの上側の茂みに潛み、彼らがバロン戦を始めるまで待とう。バロンの体力が半分を切るまで待った後、ただちにバロンの場所に突入し、みんなで同じ目標をフォーカスして、できればバーストしよう。CCを持つ味方はなるべく敵ジャングラーにCCをかけること(ジャングラーはSmiteを持っているから)。こうすることで、敵からバロンをスティールできる可能性が増す。
- レーンをプッシュして素晴らしいプッシュができた後、君は敵ベースから撤退中だ。撤退しているのは、敵チャンピオンがリスポンしたからだ。そう、敵チームはリスポンすれば死ぬ前より強力になっているが、奇襲の要素はかけらもない──君たちは簡単に誰かを狙い撃ちにすることができるだろう。
- 完全に撤退するふりをして、敵側の青バフか赤バフの茂みに隠れよう。真剣勝負をするプレイヤーに対して、隠れても「露骨にならない」茂みを選ぶべきだ。solo queueでは、敵が当然チェックしてくる茂み(青か赤のもうひとつ右の茂み)に隠れるのがたぶんよい。
- バフのある場所の入り口への途中に隠れよう(敵チームはこういった脇の茂みを集団でチェックしようとしない傾向がある)。つまり、「ひとりぼっちの探索者Dora」はフェイスチェック直後の数秒間でバーストされるということだ。
- 大抵は、敵チャンピオンをバーストした後、君たちは集団戦を続けるか(4vs4の状況で君たちのヘルスとマナがどれだけ残っているかによる)キルを取った後撤退するか選ぶことができる。君たちのヘルスとマナが残り少なければ、大抵は撤退し続けることを選ぶだろう。しかしキルを取ったからと言って、敵チームからカウンタープッシュをもらったり、バロンを取られたりすることは防ぐべきだ。
バックドア
このタイプのスプリットプッシュは、以下に挙げたチャンピオンでしか確実性がない。- Shaco
- Nidalee
- Twisted Fate
- Shen
- Pantheon
Solo Queueでは
集団戦に入った後、続けることで自チームが負けてしまうと判断したら。君は自チームから距離を置いて、違うレーンで戦いたくなるだろう。ミニオンを蹴散らし、ワードを挿し、可能な限りレーンをプッシュする。敵チームが君をキルしに現れた時は、茂みに隠れるかリコールしよう。敵チームが君をキルするのを諦めるまで待ち、彼らが去ったらただちにプッシュを再開しよう。このプッシュ戦略──隠れる/撤退する、の後プッシュ再開──は君のプッシュをやめさせるために、敵チームの全員もしくは一部を割かせることになるだろう。この戦略の最終目標は君が自チームと行動しないことだ(もし5vs5でかかったとしても、何はどうあれ君のチームが負けるとわかっているからだ)。ミニオンウェーブを消化してミニオンキルを稼ぎ、目一杯XPを稼ぎ続けるんだ。君がレーンでひとりぼっちで過ごしている時間が多いほど、君のLvとgoldは増していく──試合終盤の流れを変えるに足る総gold収入の差を、君が作れますように。
防衛
プッシュに対する防衛の戦略についても、いくつかのコツがある。- 君が守っているタワーの横のジャングル内にワードを挿そう。タワーダイブをイニシエートできるFiddlesticksやAlistarのようなチャンピオンが攻めてきている場合は、必ずだ。何が起きようとしているのかをこの視界で確保すれば、妨害できるだろう。
- タワーを殴っているチャンピオンをスタンさせよう。
- 君のタワーの範囲にいる敵チーム全員を妨害するためなら、ノックバックさせるスキルは何でも全部使おう。君の最終目的は、チーム全員の先陣を切ってタワーダイブしてくる1~2人の敵チャンピオンを帰らせることだ。
- ダイブしているチャンピオン、特にタワーを殴っている場合にはexhaustを撃とう。撃つのが早すぎることのないように。敵がタワーを殴るのに専念し始める、もしくは君にスキルのコンボを叩き込み始める時まで待とう。