2014年3月16日日曜日

和訳:Bottomレーンのテンポを操る - パート1:チャンピオン選択

Team Dignitasさまに掲載された「Bottomレーンのテンポを操る - パート1:チャンピオン選択(Controlling the Tempo in the Bottom Lane - Part One: Champion Select)」の訳をお届けします。



ある種のゲームにおいてよく、避けがたい問題として大きく横たわるのが、テンポである。自分がプレイするペースをコントロールすることは、ほとんど例外なく、重要な目標である。Starcraft 2におけるタイミングから、アメフトにおけるノーハドルオフェンスに至るまで、試合のスピードを操る側に立つことはアドバンテージだと考えられている。試合のテンポをコントロールすることにより、対戦相手がプレイしづらいように仕向け、自分自身にとって最もしっくり来るスタイルでプレイすることが可能になるのだ。League of Legendsにおいてもテンポが重要だということについても、当たり前のことだ。テンポ志向が強い場所の筆頭は、bottomレーンである。

Bottomレーンにおけるペースを最もよく言い表しているのは、レーンに対して一般的に使われている2つの俗語、「キルレーン」と「ファームレーン」だろう。「ファームレーン」では、ミニオンからファームするために対面のデュオのプレッシャーに耐え、レイトゲームでオブジェクトと対象を溶かすために味方ADキャリーを使う……それが自分の目標になる。Kog'Mawが典型的なファームレーナーである。離脱手段に乏しく脆いADキャリーだが、最大ヘルスに対する割合ダメージにより、レイトゲームにおいてはどんな相手も真っ青になる脅威と化す。この反対が「キルレーン」、相対するbottomレーンの敵を積極的に脅かし、できるならばキル獲得を目論むことで、敵を圧倒的に突き放す優位を築くことを期待するものだ。そう、「キルレーン」は速いテンポのレーンであり、一方で「ファームレーン」は遅めのペースのレーンである。チャンピオン選択と試合の両方を通して正しい選択を行うことで、自分の強さを敵チームに押しつけ、生殺与奪の権を握ることができるだろう。

チャンピオンセレクトでのテンポ選択


テンポに関しては、ADキャリープレイヤーのチャンピオン選択が全てを左右してしまう……サポートプレイヤーにとって、これを聞き入れるのは嫌なことだろう。LeBlancやEliseといった攻撃的なサポートのピックが楽しいと感じているのなら、味方がKog'MawやVarusをプレイしている時に、攻撃チャンスに毎回ADキャリーが参加してくれることを期待することはできない。また、毎回の攻撃チャンスにAstral Blessingを使うつもりでない限り、相棒がSivirやGravesを使うと決めた時は、Sorakaのような受け身がちなサポートを使うべきではない。相棒を繰り返し敵の矢面に立たせることになってしまうからだ。相棒と一緒に働くのに適するピックを選ぼう。自分がプレイしやすいピックがLeonaやJannaなのであれば、自分のレーンのテンポを決めるのは相棒だ。サポートとしてAlistarしかプレイできないのであれば、自分のレーンはおそらく「キルレーン」になるはずだ。

自分がADキャリーとして「キルレーン」を作るつもりなら、行うべきは極少数の明確な選択となる。CaitlynとAsheはそれぞれ、Piltover PeacemakerとVolleyによるハラスを行えるし、ultimateを取得すれば恐ろしい脅威となる。LucianはPiercing LightとLightslingerによる非常に強力なハラス能力から、現在このロールの頂点として君臨している。Sivirも、ダメージ交換の間にSpell Shieldを使うことで、大きな脅威を耐え凌ぐことができるため、強力な選択であり続けている。テンポが速い選択肢としては他にQuinn(Lv6時に非常に強力となる)、Corki(Phosphorus BombとMissile Barrageによる、非常識な量のダメージ投射が可能)、Ezreal(レーンの対面に対し、継続的にQを当てることでヘルスを削ることができる)がある。速度の速いレーンでは、ADキャリーに期待するものは大きなバーストダメージとハラス能力であり、補助的能力として、敵に張り付かれた状況から離脱する能力があれば良いだろう。

Ashe vs. Ezrael by Jared Burden
ハイテンポなADキャリー同士の対決では、速い展開の中で最も攻撃を避けることができた者が、相手に攻撃を当てて勝つこととなる。

ハイテンポなサポートは、ハードCCとバーストダメージを持つ。Leonaはこの部類の最たるものであり、スタンとスネアという2つのハードCCを持ち、パッシブによって400もの追加ダメージを与えられる。Dazzle/Shatter/Radianceのコンボを持つTaricが、すぐ後に続く。長距離から対象をスタンさせるAnnieの能力もまた、ここに位置づけられる(弱体化がどれほどサポートとしての地位に影響するかによるが)。けれども、クールダウンも重要なポイントである。ハイテンポなレーンにおけるサポートの選択として、ThreshおよびBlitzcrankはとても悩ましい存在だ。1回のhookを失敗すれば、レーンでの存在感は地に墜ちる。最近Terrifyへの弱体化(1/1.5/2/2.5/3sから1.25/1.5/1.75/2/2.25sに変更)を受けたFiddlesticksだが、継続的にDark Windを対面のデュオに投げ続けることで、現在でもハイテンポなレーンに加わることができる。Nidaleeもまた、高ダメージのJavelinによるゾーニングの効果が運や敵の技術に影響されるため、このロールでは評価の低いチャンピオンだろう。サポートとして展開の速いプレイを行うためには、短いクールダウンとゾーニング能力、それにダメージかcrowd controlのどちらかが必要となる。

ローテンポなADキャリーは、レイトゲームで急激にスケールが上がる傾向が強い。序盤でのTristana・Twitch・Kog'Mawは無力であるどころか、レイトゲームでのハイパーキャリー的能力値に成長するまでは、序盤が大きな弱点ですらある。Vayneはダメージ交換が得意で、特にLv6到達後のFinal Hour習得後は強い。だが、対面のデュオにゾーニングされてしまい、ハイテンポな試合ではテンポを失ってしまうことも多い。それでも、VayneのTumbleとレイトゲームのダメージは、ローテンポなレーンのためには理想的な選択である。Varusもまた、ゆっくりとしたレーンから恩恵を受けるADキャリーだ。Piercing Arrowsを敵キャリーに向かって放つことで、ダメージ交換を制限することができる。Miss Fortuneも「ローテンポ」なADキャリーであるが、その理由は異なる。レイトゲームの集団戦でこそ輝く性能、さらに位置取りに頼むところの多いダメージから、ハイテンポなレーンでのMiss Fortuneは巧みに動かなければならないことがすぐにわかるし、対面の敵たちからピンポイントで多くのダメージをもらってしまえば、簡単に犠牲になってしまうのだ。

ローテンポなレーンでサポートをプレイするということになると、交戦拒否能力とサステインが欲しくなる。Namiはかなりローテンポ向けのサポートで、ヒールを持ち、味方キャリーのダメージ交換を有利にしたり、離脱を助けたりするスタンを持ち、Tidal Waveでゲーム中随一の交戦拒否能力を発揮する。Sorakaもまたローテンポなレーン向けで、味方ADキャリーのヘルスが削られた時に必要になるヒールを持っているし、InfuseはKog'MawやVarusといったマナが枯渇しやすいチャンピオンにとって良いマナ源となる。SonaとZyraもここでは頼もしいピックで、Sonaのサステイン能力、Zyraの誇る強力無比な交戦拒否能力は、サポートというロールをこなすためには理想的である。


どんなテンポのレーンでも、Sonaのプレイは成立し、成功する

この点について、もっともっと流動的になりがちなのが、サポートである。SonaのハラスおよびCrescendoによるハードエンゲージは、ハイテンポなレーンに馴染む一方で、単調で辛く重苦しいレーンでも、そのヒールと交戦拒否能力は頼もしい。Death Sentenceを使った敵へのプレッシャー掛けやゾーニングで強力なピックであるThreshだが、The BoxとFlayで敵を味方キャリーから遠ざけたり、交戦範囲に敵のキャリーを留めたりすることも得意だ。Luluも攻守両方が可能で、Glitterlanceは良いハラス手段だし、一方でWild GrowthとWhimsyは味方キャリーから敵を遠ざける手段として非常に強い。VayneのようにいろいろなことができるADキャリーはどちらの種類のレーンにも馴染むが、序盤のKog'Mawが積極的に仕掛けてきたのであれば、手ひどく押されてしまうことがわかるだろう。この目的は、味方キャリーが輝くテンポを選び、実際にキャリーを輝かせるということなのだ。


サモナースペルにおけるテンポ選択


全員がFlashを持っているという仮定で始めよう。私たちはSilSolではないから、このレーンにHeal/Igniteの組み合わせで来るわけではない。しかしながらこのポイントから示されるのは、自分からできる選択は少なく、ベストなのは自分がレーンの対面から期待するテンポに基づいた受動的な選択を行えることだ。サポートにとっては、他の全てのサモナースペルに対抗できるExhaustが、標準的な選択であり続けている。ハイテンポなレーンでは、サポートはExhaustかIgniteのどちらかに決定しなければならない。Exhaustが味方キャリーへのダメージを阻止できる可能性を秘めている一方で、Igniteはサステイン重視のデュオを相手取るには必須のものだ。ローテンポなレーンでは、再びExhaustが最初の選択肢となるが、味方キャリーが敵の最初のバーストを耐えられる自信があるのなら、Healは実に強い選択となるかもしれない。Healには、IgniteやGrievious Woundsのような回復阻害効果という欠点もある。ADキャリーはBarrier・Cleanse・Igniteの中から自分のプレイスタイルに合うものを選ぶべきだろう(使うのを忘れないだろうものでよい)。


 具体的なチャンピオン選択



ハイテンポなレーンで強いのと同じ理由で、Leonaはローテンポなレーンでも強い選択である。Solar Flareはイニシエートスキルとしてよりも、防御的なスキルとしての方が強くすらあるかもしれない。敵を方々へと散らしてしまうかもしれない状況より、味方キャリーを追ってくる対象を誘い込む方が簡単なことが多いからだ。Zenith Bladeもまた、ひとりでは離脱が難しい敵ジャングラーやサポートに張り付かれた状況で、敵を引き剥がす役に立つ。自分の相棒を殺そうという企みを、始める前に雲散霧消させてしまうのだ。ここでもまだExhaustは頼もしい選択で、既に持っている手強い交戦拒否能力群に加えれば、味方キャリーの位置を対象から遠いところに離しておくことが可能だ。ハイテンポなレーンでは、Leonaは最高のピックの一角である。4秒間の移動不能を与える能力により、相棒は敵を引き裂くことが可能になるのだ。Zenith Bladeの存在により、敵サポートはこちら側のキル獲得能力に関心を持たざるを得ない。近くの茂みへのワード設置、gankの機会をもたらす能力、そしてレーンの外へ継続的に敵を追い出してしまう脅威となることで、敵がとてもやりにくいようにゾーニングを行うことができるのだ。


Vayneはローテンポなレーンで安全な選択だ。現在は、それが彼女にとって一番いい場所だろう。激しく攻撃を行うbottomレーンが中心となるメタゲームでは、長い間脅威に晒され続けてしまうため、Vayneはレイトゲームで必要な性能を確保することができないのだ。しかしながら、Vayneをハイテンポなレーンに送り込みたいと思うのなら、上手くやれる手段がないわけではない。Tumbleはハラスを頼もしいものにしてくれるし、最も耐久性が高いサポート以外が相手であれば、Condemnによって広大なキルゾーンを作り上げられる可能性もある。敵よりリードしているのであれば、Lv6以降はFinal Hourを使い、敵チャンピオンを餌にして育つこともできるだろう。NamiやTaricといったCC偏重のサポートと組めば、Vayneがガラス瓶のように脆い存在になってしまう前に、目標をただちにキルすることができるだろう。


Namiもまた、サポートとしては柔軟なピックであり、どちらのテンポのレーンにおいても、とても強いピックであり続けている。Tidal Waveはイニシエートや交戦拒否能力として機能するし、もっと短いクールダウンを持つAqua Prisonも、同様の機能を発揮する。Tidecaller's Blessingを自分に使うことで、味方キャリーを追撃する敵にスローをかけたり、安易なハラスに潜む死の可能性を思い知らせたりすることができる。速度の遅いレーンでは、Ebb and Flowによってもたらされるサステインがとても頼りになるが、跳ね返る水流が秘める可能性は、ハイテンポなレーンでも大きいものだ。どちらの場合でも、Namiのプレイを掴みたいのであれば、「キルレーン」における、方向指定スキルや対象指定のCCを持つサポートと同等の存在感を得ようとせずともよい。Aqua Prisonは弾速の遅い飛来物であり、間違った位置に敵を追い込んだり、味方キャリーに近づきすぎた敵の背後に撃ったりすることで、アドバンテージを得ることができる。遅いレーンではAqua Prisonを、味方キャリーめがけてダイブできる類のサポートに対する確実な交戦拒否能力として温存するか、長時間のダメージ交換で敵キャリーを不利にする手段として用いるとよい。


Varusは遅いテンポのレーンに馴染むADキャリーで、これはPiercing Arrowsのクールダウンによるところが非常に大きい。Varusはダメージ交換がとても得意ではあるが、いくらかの攻撃のやり取りを行った後にHail of ArrowsやPiercing Arrowsを繋げるというのが彼のダメージ源となっている。この両方のスキルのクールダウンは、レーニングフェーズ中は10秒以上もあるのだ。遅いテンポのレーンであれば、最大射程からのPiercing Arrowsによって目標の体力を削っていくことも可能だ。Chain of Corruptionの蔓は、交戦拒否と、体力を削った敵をいよいよ始末するための捕捉という2つの目的で使うことができる。ハイパーキャリーたちと比べ、Varusのスケールにはこれといったものがないため、「遅いキルレーン」を作ることとなるが、彼には試合のごく序盤にキルを獲得する能力がある。交戦拒否能力を持つサポートであれば誰でも、彼自身に欠けている離脱能力を補い、助けることができるだろう。


前述したように、Threshのhookはハイテンポなレーンでのプレイで魅力的かもしれないが、これを使ってキルを逃してしまえば、プレッシャーをかけられない時間が20秒間できてしまう。けれども、Death Sentenceはローテンポなレーンをプレイする対面を脅かす素晴らしい手段である。味方キャリーにファームを許すか、死んでしまう可能性か、どちらかの選択を強いることができる。FlayとThe Boxは、戦闘が起こった時の強力な交戦拒否手段であり、Flayのパッシブによるダメージから、対象がハラスするには遠すぎる場所から向かってくる時、かなりの量のダメージを反撃として喰らわせることができる。決定的なのは、Dark Passageのランタンに乗ることで、離脱手段に欠ける遅い速度のハイパーキャリーたちの離脱を助けることができるということだ。ランタンは彼らのそういう欠点をカバーすることのできる、最高の手段なのだ。

次週は、レーンにおいて自分のテンポでプレイする方法と、テンポを上げたり下げたりするのが効果的になるタイミング、自分のペースを集団戦に合わせる術、といった内容でお送りしたいと思う!



原文
Controlling the Tempo in the Bottom Lane - Part One: Champion Select - Articles - Team Dignitas : Professional Gaming Team

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